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2006年12月17日 (日)

勝手に混ざっちゃ困るのだの巻・パート2


サツマノギク系交雑種」 現地にてサツマノギクとシマカンギクの自然交雑種と思われる個体。「野菊」に未来はあるのでしょうか。
先日の事です。
またまた、「野菊」探索家のYさんが、「サツマノギク」の現地、野間岳にノギクの探索に出かけられました。
例によって、サンプルの枝を持参下さったのですが、その中にとっても解り易い自然交雑種がありました。
下の写真をご覧ください。

サツマノギク

これが典型的な「サツマノギク」です。軟らかいカエデの様な葉姿は、葉の縁まで裏毛が白く縁取り、軸はどちらかと言うと緑色で、とても可愛らしい姿で咲いています。
次にもう一枚の写真をご覧ください。

シマカンギク
これが九州南部産の「シマカンギク」です。切れ込みの多い葉はやや細長く、白毛は殆ど有りません。花は明るい黄金色で全体には少し小輪です。軸は茶褐色のものが殆どで、長く枝垂れるように花を咲かせます。
この2種類の「野菊」は、現地では一緒に自生しています。この2つを見た上で、一番初めの写真をご覧ください。
最初の写真は、葉にくっきりとした切れ込みがありますが、幅は幾分広く、軸は緑色、なにより、花がやや大きめのクリーム色です。
次の写真もご覧ください。

サツマノギク系交雑種
この個体は花こそ黄クリーム色ですが、葉は切れ込みが浅く丸みがあり、多少裏毛が見られ、軸色は中途半端なものです。
これら2種類は「サツマノギク」と「シマカンギク」による、自生地に見られる最も中間的なタイプの「自然交雑種」です。
「野菊」の自生地には往々にしてこの様な「自然交雑種」が多く見られます。
と、言う事は、栽培環境下らにおいても「野菊の個体維持」と言う事がとても難しいと言う事です。
以前、大宮に居た時には園の傍に切花の包み屋さんが仕事をしていました。
あるとき、作場の「サツマノギク」にタネが付いていたのでそのタネを蒔いてみると、開花した花は全てスプレーギクでした。そうです、切花屋さんのキクと交雑してしまったのです。もちろん、花を見て全部捨てました。
菊の自生地には幾つかの種類が混生して、様々な交雑種を生んでいるところが少なくありません。
特に特徴のあるものは「ワジキギク」「ヒノミサキギク」「キバナノジギク」等と区別されているものもありますが、やはり何処にでも顔を出す「リュウノウギク」や「シマカンギク」等との交雑が多いようです。
ところが最近では、前記の様に俗に「家菊」と呼ばれる「園芸菊」との交雑も多く見られます。
これは様々な原因が言われていますが、特に「野菊」の場合は海岸や路傍に生えている事も多く、事故などによる献花(切花を添える)が原因で、虫等によって自然交雑してしまうのではないかと言われています。
この様にして出来た交雑菊の繁殖力は強く、今、菊の自生地から元になる原種がどんどんと失われています。
最近流通する「紅花サツマノギク」なんかも家菊との交雑であることは一目です。
先のスプレーギク事件以来、当園ではクリサンテマム(デンドランデマ)に属する野菊の仲間の実生は止めています。
確実なものを株分けと挿し芽のみで増やすことを心がけています。
ただし、最初の写真の様な産地のはっきりした交雑種の特徴がはっきりと出ている固体は「改めて見直してみるのも面白いかもしれない」と思い、観賞価値のあるものは増殖に入っています。
いずれにしても「野菊」の世界はまだまだ解らない事だらけです。
今のところは「見た目の特徴が一番大事」と言った感じですね。

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